仕事のやりがい
60日でわたしができること
私は今年で勤続7年目になる理学療法士です。COVID-19が流行する前年に入職し回復期リハビリテーション病棟で約3年勤務した後、地域包括ケア病棟で現在に至るまで勤務しています。入職してから環境の変化もある中で、より良いリハビリテーションを提供できるよう日々取り組んでいます。
その中でも理学療法士になって良かったと感じた事例があります。その患者さんは脳梗塞を発症し重度の左上下肢運動麻痺を呈して当院地域包括ケア病棟へ入院された70歳代の方でした。20歳代から統合失調症やうつ病を患っており、脳梗塞の影響で認知機能にも影響が及んでいました。ご本人・ご家族ともに自分で歩いて自宅退院してほしいと望まれていましたが、介入開始時は運動麻痺の影響で思うように身体が動かせず「もう嫌です。やめたいです。」など悲観的な発言が聞かれることが多くありました。地域包括ケア病棟は入院期間が60日以内と定められているため、“自宅退院できないのではないか”と私自身焦る気持ちがありましたが、ご本人の訴えを傾聴し、出来た動作にはポジティブな印象を与えていく努力をひたすら続けました。敬意ははらいながらも時には厳しく、時には友人のように明るく接することで次第に「今日は歩きます。頑張ります。」と前向きな発言が多く聞かれるようになってきました。COVID-19の流行期間中であり、退院前訪問指導などは行えませんでしたが、ご家族に自宅環境を詳しく聴取しながらケアマネジャー・福祉用具業者と密に連絡を取り調整に励みました。退院時は杖歩行で帰られ、「本当は歩いて帰れると思わなかったんです。前より顔も明るくなって、歩けるようになって本当に嬉しい。」とご本人・ご家族も大変に喜んでいたことを今でも鮮明に記憶しています。
自分ががむしゃらに取り組み、その結果相手が喜んでくれることこそ、理学療法士としての【やりがい】であると感じています。まだまだ未熟な理学療法士ではありますが、周りの人が笑顔になれるようなリハビリテーションの提供に努めていきます。